Dark Light
ベッドの上。






少し放心する私をそのままそこへ押し倒し、藤條さんは覆い被さった。







ジッと私をみる二重でキリッとした漆黒の瞳は何かを問いたげだ。







「………何ですか。」







私はサファイアに戻った瞳でそれを見つめ返した。





「………お前の……」




「?」






「お前の秘密は…それだけか?」







眉根に皺を寄せ、そう問う。







『それ』とは、私の髪と瞳の色の事だろう。







勿論、私の秘密はもっとある。







…………知られたくない罪もある。






だが、だからと言って昨日やそこらに名前を知り、顔を認識しただけの只の知り合いである彼にそれを教える義理は無い。









「もし、私にまだ秘密があったとしても、出会ったばかりのあなたに……ソレを教える義理は無いです。」









そう素直に答えると彼は一層、皺を濃くする。




少し、鋭くなった瞳に彼が微かな怒気を持ったのが分かった。







「お前……俺が怖くないのか。」








他にも何か別の事を言おうとしたのだろうが、それを抑えた様に見えた。









「同じ人間を怖がる必要がどこにあると言うんですか。」








私はそれに気付かないふりをして、冷静に返す。









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