待ってろあおはる
途中で、先輩の携帯に電話が入る。

隣で聞いてると、明日の引っ越しの
手伝いに、こっちに出てきてるお姉さんが
来るみたいだ。

電話を切った後、申し訳なさそうに
ごめん。明日ねーちゃん来るって。

朝早く来そうな勢いだったから、
今日は送ってくよ。
荷物取りに帰らないとね。と言う。

じゃあ明日は…見送れないんだね…。

んー…そうなるかな。
あ、荷物出した後、帰る前にちょっと
顔出すよ。
ね?と、なだめるように言う。

うん…わかった。

少しでも顔見れるなら。
どこで見送っても、辛いことには
変わりないし…。

明日…冷静でいれる自信なんかない…
こわい…。

門限までは、いてもいい?と、目を見ると。

うん。俺もいて欲しい。と、言ってくれる。

優しい先輩が…大好きだよ。
と、思ったらまた、涙が落ちる。

ほらほら。あんまり泣くと、
ぶちゃいくになっちゃうぞ。と、
涙をぬぐってくれる。

あの時もそうだったね。
初めて気持ちを伝えに行った日。

あの時より、もっともっと…
好きになってる。
だから…もっともっと、つらいよ。
先輩…。


先輩に促されて、車に乗った。
朝うっすら積もってた雪は、もう
溶けて無くなっていた。

あんまり寒くないね。
夜景でも見に行こうか。と、車を走らせた。

車の中で、クリスマスどうする?と、
一生懸命明るく話しかけてくれる先輩。

つらいことばかりじゃないもんね。
楽しみもある…。
泣いてばかりいられないよね…。

車が止まった。降りて見ると、
目の前に広がった夜景が、キレイすぎて
言葉を失う。
すごいね!先輩!と、横を見ると。

やっと笑ったね。
ん、可愛い。
と、優しい顔を近づけて来る。

え、外だよ!と、周りを見ると。
暗くて、よく見えない。

あ。というあたしに。

ね?と、言って何度もキスをした。

きっと一生忘れないと思う…。

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