待ってろあおはる
しばらく、先輩は黙ったまま…。


あたしは…
何かから守るようにされたまま、
ずっと先輩の腕の中にいた。



…ちづる、俺、何がしてやれる?

安心して…お前が俺のこと好きで
いられるように、何をしてやれる?

どうすれば、笑っててもらえる…?

静かに…自分に問うように…
先輩はつぶやいた。

それを聞いて…
ふっと気持ちが、軽くなった。


先輩…
あたしね、怖かったんだ…。

もし…。
あたしが…悲しくて、苦しくて
1人でぐるぐる悩んでること、知ったら…。

あたしと…別れようって…
言うんじゃないかと…思って。
怖くて…。

だから…絶対、知られちゃいけないって…。
頑張らないとって…思ってた…。


ちづる…。



信じてなかったわけじゃないんだよ。
でも、先輩優しいから。

最初も言ってたよね。
このまま、忘れてくれたほうがって…
思ってたって。
あたしを泣かしたくなかったって。

先輩は、きっとわかってたんだよね?
どんどん好きになったら、今よりもっと
つらくなるって。

あたしは…浮かれてしまってて。
こんなにつらいって、わかってなかった。

だから、自分でもどうしていいか…
わからなくって…。

こんなんじゃ…嫌がられちゃうって…
いらないって言われちゃうって…

怖くて。ほんとに怖くて…。



あたしを抱きしめていた先輩の手が…

あたしの顔に触れた。



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