冬の花火…そして…
『…でも…やろうよ!一度チィと一緒に花火を見上げてみたかったんだよ。でもこの花火じゃ見上げられないなぁ…。そうだ!!』


僕はチィの身長より高い岩を探してその上に花火を置いた。


『ここに座ると見上げられるだろ?』


そう言って花火に火をつけチィの左側に座った。



シュワワワワ―シュワ〜




『うわぁ〜きれ〜い♪♪』

僕は言葉を失ってただポカーンと口を開けていた。


星の明かりしかないこの暗闇に赤や黄色やオレンジ、緑の色が辺りを飛び散った。



こんなに綺麗な花火は初めてだった。


花火が終わりかけた時、チィの左手が僕の右手に重なった。


『大好きだよ。』
チィがゆっくりと最高の笑顔で言った。


僕の腕はチィの右肩を強く抱きよせた。


『俺も大好きだ!!』
チィの目を見て強く言い静かにキスをした。


一瞬チィの身体が小さく震えた。


僕は黙って抱きしめた。


あれから20分くらい話しをした。


あれほど真っ暗だった空が太陽にかき消された。


まるで今までの夢のような時間が何かの魔法で、その魔法が解けていっているようだった。
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