社会は私に死ねと
しかしサイは違った。

彼女はどこに行くにも全身お人形さんみたいな格好をして歩いた。

おまけにサイは綺麗でくっきりとした二重瞼の目が印象的な美人であった。

彼女はまさに歩く西洋人形であった。


ネムが高校に入ったばかりの頃、たまたま席が近かったので二人はよく一緒に行動した。

その時にネムは初めてサイのことを知ったのだ。

ある日ファッションについて二人で話していると、サイは突然にこんなことを言い出した。

「流行にとらわれて、みんな同じような服を着ていて、馬鹿みたい」

「どういうこと・・・？」

ネムには理解ができなかった。

「私、自分が着たいと思う服以外着たくないもん」

サイはそう言い、自分の鞄の中からある雑誌を取り出した。

「見て！これ！私こういうのに憧れててさぁ。いま頑張ってバイトでお金貯めてるんだよ！」

それはロリータファッション専門のファッション雑誌であった。

そこでネムは自分もそういう服が好きだという事実を彼女に伝えた。

すると二人の距離は一気に縮まった。
< 15 / 32 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop