社会は私に死ねと

サイの着ている初夏を漂わせる花柄のワンピースが、ネムには妙に眩しく見えた。

ネムは家に引きこもるようになってから、服装へのこだわりを失った。

今日もヨレヨレの無地のTシャツにジーパンといった、とてもラフな格好で病院へ行ったのだ。

もちろん誰とも会うつもりなどなかった。

だからこの格好が許されていたのかもしれない。

しかし今は、なんでこんな格好で外へ出たのだろうかと後悔していた。

サイに会うのなら、もっとまともな服を着て会いたかった。

ネムは高校卒業以来から伸ばしっぱなしの傷んだ髪をそっと触った。

自分の髪の毛のはずなのに、それがとても気持ち悪く感じた。

自分に劣等感しか感じなかった。