社会は私に死ねと
ネムはサイが羨ましかった。

ネムから見たらサイは明らかに勝ち組の人生を送っているように見えた。

ネムは自嘲するようにこう言った。

「サイ、変わったね。すっかりリア充になっちゃって。私なんかあれからずっと引きこもり。底辺の駄目人間になっちゃったよ。」

「ネム?」

「そうだよ。私は引きこもりのニートだよ。しかもうつ病の。どう思う?リア充のサイにとって、私はどう映るの?」

すると、サイは真顔になった。

そして、今まで明るかったサイが嘘のように小さな声でこう呟いたのだ。

「私は・・・ネムが羨ましいよ・・・」

ネムは耳を疑った。

「私が羨ましい・・・?」

「うん。いつまでも変わらずにいられるネムが羨ましい」
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