社会は私に死ねと

ネムは思いきって受診の際、医者にたずねてみることにした。


「待合室で気になっていたんですけど・・・私と同じように、うつ病で、休養している人って、どのくらいいるんですか・・・」

「あなたのようなうつ病患者の方は最近は珍しくありませんよ」

医者は簡単に答えてくれた。

「あの、私・・・いつも家に引き込もっていて、あんまり会話する人がいなくて・・・。できたら同じ病気の人と交流する機会があったらいいなって・・・」

すると医者はにっこりと笑った。

「そうですか。そのような意欲が出てきましたか」

「え？」

ネムにはなんのことかわからなかったが、医者の説明を受けて理解できた。

「そう思えるようになったということは、状態がよくなっていってるってことですよ。ネムさん、前までは誰とも会いたくないって感じでしたよね」

「そういえば・・・。確かにそうかもしれませんね」

「では、市内で今度開催される予定のイベントがあるんですけど・・・そちらでよかったら、どうぞチラシを受付で貰って帰って下さい。あなたのように心の病を抱えている方達の交流イベントです」