Perverse second
「今回はこれくらいで済んだんですよ?どうにかなることくらい予想出来てましたし。私が知りたかったのは、三崎さんの力量です」



偉そうに淡々と答える竹下を相手にしていると、頭が混乱し始めた。



ここまでの事をしているにもかかわらず、どうしてこうも堂々としているのだろうか。



挙句、力量を見たかっただなんて、全く理解できない。



「今回の事で三崎さんがどう行動するのか見物したかったんですけど。結果、彼女は何一つ自分で解決できない人だという事が分かりました。高嶺の花なんて誰が言ってるんでしょう。笑えますね」



そう言って笑った竹下は、恐ろしいほどに歪んで見えた。



「竹下……。こんなことしたって意味がないだろう?」



「意味は十分ありますよ」



竹下は大きく一歩踏み出して、俺との距離を一気に縮めてきた。



「三崎さんが絡むと、柴垣さんと私は繋がるでしょう?」



「何言ってんだ……」



「これからは近くで私を見張っててくださいよ。私が三崎さんに何も出来ないように」



見張る……?



竹下はそうまでして俺を手に入れたいというのか。



「私は意地悪な女ですから。そばにいてくれないと、何をするかわかりませんよ? 」



するりと伸びてきた竹下の手は、俺のネクタイをゆっくりと掴み、そして一気に自分の方へと引き寄せた。



「ね?柴垣さん?」



しまった首はまるできつく首輪を付けられたように苦しく感じた。



この時に俺の立ち位置は否定も肯定もしない、完全中立に決定させられてしまったのだ
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