Perverse second
鉄壁の防御で三崎を守っている津田さんが邪魔だと思っている男は俺だけじゃないはず。



けれどきっとみんな、津田さんだから大丈夫だと安心しているに違いない。



こういうのを役得?日頃の行い?なんていうんだろ?



三崎も気を許しているのか、隣のジェントル津田と笑い合いながらグラスを空けていく。



ちょっと飲みすぎなんじゃねぇの?



そう思っている矢先、三崎が席を立って楠原に何かを呟き踏み出し。



足が縺れてふらついてしまった。



「危ないっ」



バランスを崩した三崎を支えた津田さんは、本当に憎らしいほどイイ男だ。



「津田さん!狡い!」


「なに触ってんっすか!」


「さり気なくアピらないで下さいよっ!」



男どもは鬼の首を取ったかのようにワイワイと騒ぎだす。



「何言ってるんだよ。危なかったから支えただけだろ」



変わらず爽やかに笑いながらかわす津田さんにぺこりと頭を下げるだけで、三崎は席を外した。



個室を出ようとした三崎が振り向き、再び視線が合わさったけれど。



胃がむかつくほど津田さんに嫉妬していた俺は、自分がどんな表情をしているのかなんてわからない。



とにかく表情を消すことだけで精一杯だった。
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