Perverse second
三崎が席を外すと、若い社員どもは俺をターゲットにしだした。
「柴垣さんって彼女いるんですか?」
「いない」
「とか言ってめっちゃいそうなんすけど」
「だから、いねえっつーの」
「じゃ、あれですか?特定の人は作らないってやつ」
「…お前らの頭はそれしかねぇのかよ」
このテのノリは陸で十分な免疫がついている。
よって、流すのが一番の対処法だ。
しかし他の女子社員もいるっつーのに、コイツらはアホか。
「柴垣さん、絶対モテるでしょ?」
「そりゃモテますよねぇ。なんたって男の俺から見てもめっちゃくちゃイケメンですもん」
「おまけに仕事もできるなんて最高かって話です」
仕事は『ついで』なのかよ…。
何かを語って若手を伸ばすほど優しくもない俺は、呆れながらグラスを開ける。
「次、何飲みます?」
ちょうど店員を呼ぶためにベルを押した水田に声をかけられて、
「ジンジャーハイボール頼む」
と言うと、水田は『はぁい』とにっこり笑った。
「柴垣さん、もう水田さんと仲良くなってる…」
「羨ましいっす」
そう羨ましがられても、本当に仲良くなりてぇヤツには避けられてばっかだけどな。
心の中で溜め息をつくと。
「けどやっぱ三崎さんは美人ですよね」
一人がそういうと、全員が頷き始めた。