Perverse second
「三崎さんを毎日見てたら彼女が霞みそうで怖いっすよ」



彼女がいるなら、そんな目で見んなよ。



「あーわかるぅ。彼女のハードル高くなりそーだよな」



三崎みたいな女はそうそういないんだから、ハードル下げろよ。



「お前彼女いねぇだろっ」



いねぇのかよ…。



「まじで三崎さんって完璧だよなぁ」



何言ってんだよ、お前ら。



完璧な人間なんているはずないだろ。



三崎の表面しか見てないから簡単に『完璧』なんて言えるんだ。



まあ、内面見られると面倒くさい事になりそうだから、それでいいのかもしれないけど。



「手の届かない人だよなぁ。やっぱ高嶺の花って言葉がピッタリだよ」



その言葉は。



三崎を縛り付けているその言葉だけは。



今後、俺が絶対に言わせない。



自分の中で勝手に理想の三崎像を作り上げていく他人に応えようと、バカだからアイツは藻掻くんだ。



そんな虚像、無視してりゃいいのに。




だからこそ俺が。



「なんだそれ」



コイツらだけでなく、ここにいる全員の思い込みを払拭すべく、俺はわざと大きな声で吐き捨てた。
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