Perverse second

「高嶺の花だとか完璧だとかいろいろ言ってっけどさぁ。アイツはそんな万能な女じゃねぇと思うけど」



ここの人達は誰一人、本当の三崎を見ていない。



俺にとっては好都合だけれど、この勝手な言い草にも腹が立つ。



「いやいや、柴垣さんはまだ異動して来て1週間じゃないですか」



「1週間じゃ三崎さんの魅力はわかんないっすよ」



本気でカチンときてしまったこの言葉。



俺より三崎を解ってるとでも言いたげな口調に、見えないテーブル下で握り拳を作ってやり過ごす。



「その前は2年間一緒にいたっつーの」



俺は乾いたような笑いで何とか怒りを逃がした。



こんな所でムキになる必要は無いんだ。



「そりゃ柴垣さんくらいの人ならイイ女たくさん見てきたかもしれないけど」



ほら。



「それでも三崎さんは別格だろ」



こいつらの考えていることなんてこの程度のことなのだから。



再び面白可笑しく語りだす男性社員は、どうして俺の事も三崎の事も知らないくせに、こうも物知り顔で堂々と語るのだろう。

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