処方箋付きで一目惚れ

次の日、バイトに来るなり、
「昨日の夜も買い物来てたよ」
斉藤くんに言われた。
「...え...と...?」
「バカ、サクマだ。たまたま安田に用事があって、買い物来たら、出くわした。夜中にも、酒、買い出しに来てる。これは、夜勤の安田情報だ」
て、夜勤のヒトにも、バらされたのか。
「じゃあ、近所のヒトなんじゃない?だったら、何も、慌てなくても」
「違うんだよ。この辺に宿泊してる感じなんだ。それも、明日まで」
「明日...」
「向こうから声をかけてもらえるような超絶の美人、とかじゃないんだから、自分から、頑張れよ」
「わかってるよ。だから出来ないんだ」
「バカ、君川さんに好意を持たれて、嬉しくない訳ないんだから、背中押してるんだ。オレは、やめとけなんて言ってない」
あたしは、商品を並べ初めながら、斉藤くんを見た。
ドアが開くのが見えて、サクマさんが入店して来る。
あたしが固まったので、斉藤くんも、そっちを見た。
「いらっしゃいませ」
言って、
「頑張れよ」
低い声で言う。
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