処方箋付きで一目惚れ
でも、どうしろって言うんだ。
あたしは、おどおどするだけで、何にも出来ない。
斉藤くんが接客するのを、背中で聞く。
「あーあ」
戻ってきた斉藤くんに言われる。
「もう、会えないな」
そんなこと言われても、そもそも、斉藤くんが、勝手にあたしをたき付けてるだけなのに。
あたしは、黙って作業を続ける。
商品を出し終えて、斉藤くんが、コンテナを重ねて、店の外に押して出て行く。
嫌だな。
怒ってるよ。
斉藤くんが戻って来るのが、気が重い。
と、
斉藤くんは慌てて中に入って来た。
「君川さん、君川さん!!」
手招かれる。
そばに行くと、付いて来いと、さらに手招く。
付いて行くと、コンテナを一時的にしまっておく倉庫の奥の、家を指指す。
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