処方箋付きで一目惚れ
「そこ、民家を改装した、宿泊施設なんだよ」
窓が開いていて、何と、チラリとサクマさんの姿が見えた。
窓に手を伸ばしていて、ふと、こちらに気づいた。
「そこに泊まられてたんですね」
斉藤くんがニコヤカに話しかけている。
あたしには見せたことのない、愛想の言い、顔と声。
「ああ、さっきの。...気になってたんですよ。荷物運ぶ、ゴロゴロ~って音。窓開けてみて、お隣のコンビニからの音だったんだなって」
「そうか、もしかして、丸聞こえですね」
「そうみたいです」
「申し訳ないです」
「いえいえ」
「...いいですね。旅行ですか」
< 7 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop