気持ちいい恋、始めませんか?
「で、米山は何を悩んでるのかな?」


背中越しに覗かれているのが気配でわかる。
だけど、何も言えずにいると、


「もしかして、何も覚えてない、とか?昨夜のこと」
「......」
「覚えてないなら教えあげるよ。オレ達がしたこと。...どんだけ熱くて、激し...」
「わーわーわー!言わなくていいです!覚えてますから!ぜーんぶ覚えてますからぁ!」


振り向いて高遠さんの口を押さえると、私の手で隠れた唇はまた口角をあげていて、


「...覚えてるんだ?全部?オレがしたことも、お前がしたことも、全部?」



妖艶な笑み。
この顔を私は昨夜何度も見た。
私を追い詰める度に。


私は昨夜、高遠さんに抱かれた。
高遠さんを抱いた。


経験がないわけではない。
でも、高遠さんを好きになってからは当たり前だが恋人がいるわけないから、すっかりとご無沙汰だった。


久しぶりの感覚、というものもあったとは思うんだけど、



とにかく、



気持ち良かった。






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