恋のカタチ
だからそんな顔しないで。



そんな今にも消えそうな、悲しい目をしないで。



ぴたっとセミの鳴き声がやんで静寂が訪れる。



「…ほんっと、変なやつだな」



小さく、独り言みたいに言った宮村くんの顔はオレンジ色に染まっていて。



「なら、ちょっと肩貸して」



ぐいっと肩を引っ張られて、ずしんと宮村くんが頭を私に預けた。



「好きに使ってくださいよ」



私はそう言って、ぽんっと一回だけ宮村くんの頭を撫でる。


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