Home run[仮]
少しの沈黙の後、
「…じゃあマネージャーになってくれる?」
と、拓斗くんに聞かれたけど、
私なんかにつとまるのか不安で
「えっと…野球のルールもわからないのに
私がマネージャーなんて…」
と、答えてしまった。
「んなもん、俺が教えるから」
「えっ…ありがとう」
返ってきた言葉は私には意外だった。
"そっか、じゃあいいや"とかあっさり返されるかと思った…
涼真はしつこいけど。
「俺は厳しいよ、覚悟して」
「が、頑張ります」
「あははっ」
今度は無邪気に笑う拓斗くんにまたドキッとしてしまう私がいた。
「まあ、少しは興味もってくれたみたいで良かったよ」
会話が続かないかも…なんて心配は必要なかったみたい。
普段は、無口な拓斗くんと違った1面を見れて少し距離が近くなった気がする。
会話は自然と弾んで、気がつくと家の近くの公園に着いていた。
「あっ、じゃあここで。そこの道曲がったらうちすぐなの。」
「わかった。気をつけてな」
「送ってくれてありがとう、また明日ね」
「…梓」