Home run[仮]
*2回裏
*拓斗side
入学式以来、涼真は梓にマネージャーになってくれないかとほぼ毎日勧誘している。
最近は梓と仲のいい葵ちゃんにも
マネージャーやって〜、と言い出す始末。
そんな涼真の粘り勝ちか、梓と葵ちゃんが
明日、部活に見学に来ることが決まった。
「やっと!やっとだよ拓斗!
可愛いマネージャー、夢だったんだ〜」
今は部活前に、部室で練習着に着替えている途中。
「おーおー、良かったな」
「んだよ、拓斗も嬉しいくせに」
「俺は別に…」
「ふーん。俺はてっきり教室だと無口になっちゃう理由は梓ちゃんだと思ってたんだけど〜 」
ニヤニヤする涼真に少しイラっとする俺。
「無口じゃねーしなんで梓なんだよ…」
「いーやっ無口だねー。
チラチラ梓ちゃんのこと見てるの知ってるよーん」
「見てねーわ!」
「ムキになるなんて余計あやしいな〜」
「ちっ、早く着替えろよ。」
「はいはい、おーこわっ」
…図星だった。最近俺は梓を目で追ってしまってたり、梓の前では無口になってしまってたり。それは自分でも薄々、気づいていた。
俺は元々無口ではない。どちらかといえば話す方だと思う。
梓とも普通に話したい。だけど梓を前にすると変に緊張してしまうし、
緊張してるなんて梓に知られたくなくて、なんだか無口になってしまっていた。
…理由はわかってる。
"気になる子の前ではかっこよくいたい"んだよ男ってやつは。勿論、俺も。