Home run[仮]


直接呼び捨てなんてしたことなかったのに…
つい呼び捨てしちゃったよ…

なんて内心焦りつつ。


梓も不意にしてしまった呼び捨てに
ちょっとびっくりしたようで。


「…な、なに?」


気になる子に自分から連絡先を聞くなんて経験がない俺は緊張している事を隠しながら…


「…これ俺の連絡先だから。」


「え?連絡先?」


「うん。梓の連絡先も教えて」


「…いいけど」


内心ガッツポーズ、叫びたい気持ちを抑えて
毎日連絡する口実を俺は伝える。


「…毎日15分。」


「え?」


「拓斗先生の授業するから。野球のルール」


「へ?」


「じゃあ…またな」


梓は冗談だと思っていたかもしれないけど
俺にとっては梓に連絡できる好都合な口実。


これでルールを覚えて梓が野球部に入ってくれれば一石二鳥。


よくやったぜ…俺!!


200点満点だろ!!


スキップしたい気持ちを抑えながら
自転車を押して歩く。


いつもより星がキラキラして見えた。




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