Home run[仮]
あの約束をした次の日から、ほぼ毎日拓斗くんが
電話で15分だけ授業(?)をしてくれる。
いつも無口だった拓斗くんだけど、
最近は教室でも話しかけてくれるし、
何よりとっても面白くて毎日15分が
あっという間に過ぎてく。
あっ ルールもちゃんと教えてもらってる!
電話越しの拓斗くんの声はいつもより
少し低くて、優しい声。
もっと…話していたい、と思う。
かと言って学校ではなかなか私からは
話しかけられない。
でも話したいから前に座る大きな背中に
"こっち向け〜"と念を送る
たまに振り返ってきてくれる拓斗くんに
ドキッとする
「なんだよ」と言いながら笑う拓斗くんに
笑顔がこぼれる
気になってる…?まさか。
"前の席の人と恋に落ちるとか〜?"
入学式で葵と話していた事を思い出して
顔が火照る。
…キーンコーンカーンコーン
1限目の授業が終わった。
まずい、ほぼ内容頭に入ってないよ〜…
「なあ、梓?」