明日の俺は、
ルイトモカフェ
俺がよく利用するネットカフェ。


『ルイトモ』


二年ほど前にできたネットカフェだ。
白を基調とした明るい店内。
個室は暗めのライトで、
なかなか落ち着く雰囲気。
マッサージチェアルーム、ソファールーム、アロマルーム…と沢山ある部屋から選べて、シャワーや食事も色々充実している。


俺のお気に入りは、ドリンクコーナー


種類も豊富で、アイスなんかもあったりする

好きな理由は、種類の多さだけじゃない。

個室ばかりの店内でそこだけは、他の人と顔を合わせる

会話はない

目を合わせることもほぼ無い

でも、俺はそこが好き

ドリンクバーでジュースを入れながらそこに来る人を観察するのが好きなんだ




今日も、漫画を読み終えると

俺はドリンクコーナーにむかった

そこには、結構頻繁に見かける男がいた

黒いキャップを目深にかぶって
ダメージジーンズに黒いジャージに足はサンダル履き

いつもホットコーヒーで

いつも鼻をすすってる


俺は、オレンジジュースと炭酸水をミックスしたジュースを作りながらその男を観察した


…怪しいなぁ…


上から下まで黒い

キャップで顔は見えないし

どんな顔してんだろ…


「…あの」

俺の視線に気づいたのか、男が話しかけてきた。

「この前、これ落としませんでしたか?」

男がポケットから取り出したのは、
登録制バイトの会員カード

俺の名前入り


「ぁ、俺のです!」


もぅ探すのも諦めてたのに

なんで、この人が持ってるんだ?


「あー、…どこに落ちてました?」

「○○工場に。」

この前派遣されたところだ

「僕も登録制バイトしてるんです。この前あなたと同じ派遣先で…今までも結構、一緒に仕事したことあるんですよ?たまにここで見かけてたんで…渡せて良かった、大事でしょう?」


そう言って男はキャップを取った。
初めてこの人の顔を見たけど、
明るい茶髪に大きな瞳


爽やかに笑うその男は
第一印象と随分ギャップのある、
しゃべるのが好きそうな、
なかなかのイケメンだった。


「ありがとう、ございます」
< 4 / 9 >

この作品をシェア

pagetop