明日の俺は、
「…羨ましいです」

「え?」

「杉原さんが羨ましい。俺は、バイトが楽しいと思ったこと1度もないし、これから自分がどう生きていったらいいかもわからないし…。その前に、明日仕事があるのかもわからない登録制バイトで……余裕が…ないんです、不安、で…っ」


涙が出てきた。

話してるうちに、本当に余裕が無い自分に泣けてきた。


「…うーん……まぁ、涙ふきなよ?泣いたからって就職先が決まるって訳じゃない。でしょ?
努力しないとね」

「はい…すみません」


「ちゃんとした仕事に就くにはさ、ネットカフェ巡りなんかしてちゃダメなんだよ。何処かに部屋を借りないと」

「そうなんですけど…金が…。1日過ごすので、もういっぱいいっぱいで…」

「だよな~。僕も登録制バイトやり始めた頃はそうだった。でもね、やっぱ住所と家の電話があったほうが良いんじゃないかな?……でも、ほんと。登録制バイトとかって悪いループだよな」

「悪いループですか?」

「だって。まぁ、会社によるけど、1日6000円とかからで、次の日仕事があるかわからない。食費、交通費、携帯代、宿代…金が貯まらない貯まらない。住所も無いからちゃんとした仕事に就けない。その例が、君だ」

「はぁ…」

「…そうだな…。俺の家来る?」

「え?!」

「どう?男2人じゃ狭い家かもだけど(笑)」

「いいんですか?!」

「でも、タダじゃあ無いよ?ルームシェアってやつだ。」


変なことに巻き込まれてるんじゃないかってくらいラッキーすぎる。

借金でも背負わされるなんて事無いよな…?

いや、でも

こんな良い話、今後一切無いと思うぞ!!


「あのー…なんで、こんなによくしてくれるんですか?」

「悪い人じゃなさそうだし。嘘つけなさそうだし。君の事、気に入ったから。それだけ。」


あ、僕、ゲイじゃないよ!ノンケだから!安心して!

なんて。そんな笑顔で言われたら…


「ルームシェア、お願いします!」

勢い良く頭を下げたら、テーブルに頭をおもいっきりぶつけた。

「あはは(笑)よろしく、トモヒロくん」



こうして俺と杉原さんの共同生活が始まった。




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