冷たい花に偽りの太陽を


愛夢side



小走りで墓地に向かう間、あたしは来兄のことを考えていた。



来兄は昔とは違った。



もうあの日から6年になる。



変わらない方がおかしいんだ。



でも、でも…。



また、笑って欲しい。



ちゃんと、心から。



あたしたちの間に溝を作った原因は、あたし。



頼りきっていたあたしのせい。



そしてまた今日も頼ってしまった。



また今日も来兄を傷つけてしまった。



どうしてあたしはいつもこうなんだろう。



お兄ちゃんのプレゼントの箱を握る手に力が入る。



お兄ちゃん、ごめんね。



仲良くって、笑顔でって、言われたのに。



あたし、守れそうにないや。

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