冷たい花に偽りの太陽を


お兄ちゃんのお墓の前。



息を切らしたまま、しゃがむ。



プレゼントのラッピングを丁寧に開け、お兄ちゃんに中身を見せた。



「今年は長財布にしたよ」



蓋を閉めてお墓に置いた。



「…お兄ちゃん、あのね、来兄に会ったの。あたし、怖くなって震えちゃった。また傷つけちゃった。」



あたしの声が震える。



変わりたい。



変われない。



あたしが変わらないから周りも変わらない。



来兄に謝りたいのに、それすらも来兄を傷付ける。



「お兄ちゃん、あたし、どうすればいいの?」



仲間と言ってくれる人がいる。



友達になろうと言ってくれる人がいる。



でも、頼っていいのか分からない。



頼り方が分からない。



お兄ちゃん、あたし、やっぱり笑顔でなんていられない。



ごめん、約束守れなくて。



でもあたし、生きていくのに精一杯だよ。



「…また、来るね。」



あたしは立ち上がった。



そしてお墓に背を向けて歩き出す。



弱いあたしはもういらない。



あたしに泣く資格なんてない。



頼る資格なんてない。



だってあたしは、ヒトゴロシ。

< 103 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop