冷たい花に偽りの太陽を


「今の親戚と上手くいってるのか?」



「…ううん。今は一人暮らししてる。」



「え、一人暮らし!?大丈夫なのか!?」



来兄が目を見開いたあと、あたしに詰め寄る。



大丈夫なのかって言われても、あたしには他の道はないから。



たとえ大丈夫じゃなくたって、一人暮らしをしないといけない。



「……大丈夫だよ」



早くバスが来て欲しいのに、来て欲しくないとも思っている自分がいる。



矛盾した気持ちは、どうすればなくなるのか分からない。



来兄は、正美さんのあとに引き取られた親戚と上手くいっているのだろうか。



…なんて、愚問だ。



だって親戚から嫌われているのはあたしだけなんだから。



出来損ないで生きてる価値もない、ただの疫病神。



少し遠くにバスが見えて、あたしは荷物を持ち直した。



あたし達の前に止まったバスを見て、来兄は微笑んだ。



「またな」



そう言った来兄は、少し寂しそうだった。

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