冷たい花に偽りの太陽を


また今日も、一日を特に何もすることなく過ごす。



空き教室に向かっている途中、ポケットからスマホの着信音が響いた。



何かと思ってスマホを開くと、慧からのメッセージが1件届いていた。



【今日も授業受けない?】



なんの意図があってそのメッセージを送ってきたのかわからない。



でも一応返信はしておくか、とあたしは【うん】とだけ返した。



すると直ぐに、



【じゃあ今から倉庫行こ】



と返ってきた。



いや、まだ1限目も始まってないんですけど。



なんのために学校来たのよ。



なんて思いつつ、特にすることもないあたしは【わかった】と返信した。



あたしはスマホをポケットにしまい、とりあえず昇降口に行く。



靴を履き替えて待っていると、直ぐに慧が来た。



「ごめんね。待った?」



「………別に。」



慧は靴を履き替えてあたしの横に並ぶと、あたしの手を取って歩き始めた。



あたしは何も言わず、ただ慧に着いていく。



お互い無言で歩き、気づけば慧のバイクが置いてある駐輪場まで来ていた。

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