冷たい花に偽りの太陽を
「この前行った2階の部屋だと思います!」
「……そう。ありがと」
あたしは階段を上る。
ドアの前でノックをした方がいいのかと一瞬迷ったけれど、中にいるのは恭たちだからいいか、とそのままドアを開けた。
「おー早かったな慧…って愛夢!?」
恭がわかりやすく驚く。
「愛夢ちゃん一人で来たの?」
友樹はあたしにヘラヘラとした笑顔を見せた。
「…慧と」
「慧は〜?」
紘が首をコテンと横に傾ける。
なんか仕草が心織と似てる…。
「…バイク置きに行った。」
「そっか〜!じゃあそろそろ来るかな〜?」
なんて言いながら、紘はスマホを取り出した。
その後すぐにドアが開いて、慧が来た。
慧が席に座って、あたしはただドアの近くに立っていた。
ぼーっと窓の外を見つめる。
「…む、愛夢!」
はっとして慧を見る。
「…座らないの?」
「…………座る」
別に座らなくてもいいんだけど。
どうせすぐには返してもらえないだろうし。
あたしは友樹の横に座った。