冷たい花に偽りの太陽を


中に入ったのはいいものの、やることが何もない。



一つだけ置かれた机を数秒見つめ、また溜息をこぼした。



あたしは窓の鍵とカーテンを閉めてから、ドアへ向かった。



ドアの鍵を開けて廊下に出る。



今は多分授業中だろうから、きっと誰にも会うことは無いだろう。



あたしは女子ロッカー室に向かって歩き出した。



確か数学だけ最初の授業で問題集が配られて、それをロッカーにしまったはず。



それ以外は全部家だけど。



予想通り誰にも会うことなくロッカー室に辿り着いた。



.....そう言えばあたしのロッカーってどれだっけ。



...................全然思い出せない。



まあクラスのロッカーを順番に開けていけばいっか。



面倒だと思いつつ、クラスのロッカーを五番目から開けていった。



出席番号は忘れたけど、“す”から始まるのに1番目はないだろうし。



せめて五番目より後かな、なんていうあたしの予想は当たったみたい。



8番目のロッカーを開けると、中には数学の問題集が入っていた。



.....名前書いてないけど、多分これでしょ。



他の人のロッカーは全部ほかの教科のものたくさん入ってたし。



あたしはそれをリュックの中にしまった。



ロッカー室を出ると、廊下には見回りなのか先生がいた。



「住吉さんなにをしているの。今は授業中よ。」



なんであたしの名前知ってるんだろ。



あたしこの人と話した覚えないんだけどな。



「ちょっと聞いてるの?」



おばさん先生は、少し強めにそう言った。



イラついてるなあ...。



疲れないのかな。



「.......数学の問題集を取りに。」



「どうしてリュックを背負っているの。授業は?遅刻してきたの?」



面倒だな...。



いいじゃんなんだって。



授業を受けない生徒だって1人くらいいるよ。

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