冷たい花に偽りの太陽を
どれくらいの時間そうしてたのか。
気づいた時には、ドアの外から心織があたしの名前を呼んでいた。
あたしは力の入らない腕を無理やり上げてドアの鍵を開けた。
「えっ...あむちん?どうしたの?」
心織は教室に入ってくると驚いたように立ち止まった。
心織の視線があたしの顔から左手首に向かって。
あたしははっとして袖を下ろした。
心織は何も言わずにドアを閉めてあたしの横に座った。
「...あむちん、どうしたの?」
いつもと違う落ち着いた心織の声。
心織はあたしの右手を握った。
「1人で溜め込んでたらパンクしちゃうよ。......あむちんはもうちょっと周りに頼っていいんだよ?」
頼っていいわけない。
人殺しのあたしにそんな権利はない。
あたしは首を横に振った。
「......なんでもないから」
「あむちん...」
頼らない。
頼れない。
あたしにそんな資格はない。
「...ま、頼るの怖いよね。私もそうだったなぁ...」
心織は何かを思い出すように目を伏せた。