冷たい花に偽りの太陽を


キラキラとネオンが光る。



ピンクや赤に光るよう装飾された看板には、ホテルやガールズバーの文字ばかりだった。



こんな場所に制服姿の女が一人でいるなんて、場違いすぎる。



「お姉さん。今ちょっと時間ありますか??」



歩いていると、すぐにそう声をかけられる。



あたしをガールズバーやキャバクラで働かせたいのかもしれないけど、残念ながらあたしにコミュニケーション能力はない。



性格自体を作り変えればできるだろうけど─────それにしたって今まで嫌われ続けてきたのだ。



結局どんなに作り替えたって、あたしなことには変わりないから意味が無い。



男たちを無視しづけて、ただただまっすぐと歩いた。



どこまで行けば駅に着くのか。



そもそも今歩いている方向で本当に合っているのかはさっぱり分からない。



ただこんな所を歩いていたと親戚にバレてしまえば、何をされるか分からない。



あの人たちはあたしの事を人だと思っていないから、殺されるかもしれない。



──────────"殺されるかもしれない"?



そうか。簡単な事だ。



自分で死ぬ事が許されないのなら、誰かに殺してもらえばいい。



そして1番あたしを殺してくれそうな人は親戚の人達だ。



今までは怒られないよう、迷惑をかけないよう静かに暮らしてきたし、従ってきた。



でもそれをやめて、怒られても迷惑がられても続けていればいずれ殺してくれるかもしれない。

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