冷たい花に偽りの太陽を
真新しい制服に袖を通す。
セミロングの黒髪は、ストレートのまま。
化粧はファンデーションと、色つきリップのみ。
冷蔵庫からペットボトルの緑茶を取り出し、リュックの中へ投げ入れる。
スマホをポケットに入れ、カバンの中にお財布が入っていることを確認。
時計に目を向けて、よし、と呟いた。
8時丁度。
あたしは玄関のドアを開け、外へ1歩踏み出した。
何度か通ったこの道を、今日から始まる高校生活を想像しながら歩く。
別に期待も不安もない。
あたしはどんな高校生活になったとしても、きっと何も感じない。
だって、感情なんて捨ててきたから。
だから例えば、マンガのような、学校のアイドル的存在の人と運命的な出会いがあったとしても、きっと恋には発展しない。
ドキドキとかキュンキュンとか、絶対ないと思う。
例えば、高校で友達とご飯を一緒に食べたり、放課後に遊んだりといったことをしたところで、「楽しい!」とはならない。
楽しいなんて感情は、生憎持ち合わせていないから。
そもそも、あたしに友達なんて出来るわけがない。