冷たい花に偽りの太陽を
少し明るくて、目を開けた。
窓の方に目を向けると、カーテンが少し開いていて、隙間から朝日が射し込んでいた。
ゆっくりと体を起こし、時計を見る。
6時、か...。
いつもより早く起きてしまった。
あたしはベットから降りて浴室に入った。
軽くシャワーを浴び、ソファに座る。
まだ6時半だ。
あと1時間以上することがない。
あたしはなんとなくテレビをつけた。
ニュースキャスターの口から淡々と述べられるそれを、あたしは全て聞き流した。
誰が殺されたとか殺したとか、あたしには関係のないことだし。
確かにそのニュースを見て悲しむ人や怒る人がいるかもしれない。
ううん、確実にいるんだとは思う。
けどそういう感情を持ち合わせていないあたしには、本当にどうでもいいことなんだ。
「────ちゃん4歳が、マンションの駐車場に倒れているのを住人が見つけ、その後病院に運ばれましたが────。────ちゃんには無数のアザがなどがあり、警察は、────ちゃんが虐待を受けていたと見て捜査しています。」
“虐待”
その言葉だけは聞き流せなかった。
自然と手が震えた。
知ってるよ、あたしは。
ずっと親に殴られる痛みも、罵声を浴びせられる辛さも、逆らったら何されるかわからない恐怖も。
あたしだってきっと本当は死んでいた。
あの日、みんなと一緒に死ぬ予定だったのかもしれないし。
それよりも前に、彼がいなければ死んでいたかもしれない。
あたしにとって親は恐怖そのものだった。