冷たい花に偽りの太陽を
「ん...」
重たい瞼をゆっくりと上げる。
いつもとは違う天井に、一瞬思考が停止した。
あたしはゆっくりと起き上がる。
ぼーっと部屋を見回した。
タンス、テーブル、ソファ、ベッドしかないこの部屋は一体どこなんだろう。
そもそも、どうしてこんな所で寝ていたんだろう。
「.........倒れた......?」
そうだ、あたし倒れたんだ。
学校帰りに慧とコンビニ近くの駐輪場に行って、そこで倒れたんだ。
男の子が言った言葉を聞いて。
あたしはゆっくりとベッドから足を下ろし、立ち上がった。
ドアをに手を伸ばした瞬間、突然ドアが開いた。
思わずびっくりして動きが止まる。
ドアの前には慧が立っていて、その奥は昨日入った部屋になっていた。
「...愛夢大丈夫?」
慧が心配そうにあたしの顔を覗き込む。
「平気。...迷惑かけてごめん。」
あたしは慧から顔を逸らした。
目を伏せて、慧の言葉を待つ。
もう、ここも終わりかな。
急に倒れるとかめっちゃ迷惑な人だし。
どうせこれで慧たちに捨てられて終わり、でしょ?
いつも通りなんだよね、多分。
「...!」
頭の上に優しく慧の手が乗せられた。
な、なに?
なにこれ、初めてやられた...。
「け、慧?」
あたし、どうしたらいいの?
「愛夢、俺らは迷惑だなんて思ってないよ。」
「え...?」
なにそれ、絶対嘘じゃん。
だってあたしは生きてるだけで迷惑なのに、倒れても迷惑じゃないなんて。
そんなことあるわけが無い。
「愛夢は我慢しすぎだよ。もうちょっとワガママ言っていいんだよ?」
ワガママ...?
あたしは生きてること自体、今の家で今の学校に通っていること自体、ワガママなのに。
それ以上言うなんて、あたしがしていい事じゃない。