冷たい花に偽りの太陽を


何も言わないあたしを見て、慧はあたしの頭から手を離した。



それに少し心にモヤモヤしたものを抱いた。



この感情はなに?



もっと乗せておいて欲しかったと思っているみたいで、あたしは下唇をかんだ。



だってあたしは、人になにか望んじゃいけない。



望んでいいような人間じゃない。



「ずっと立ってるの疲れるでしょ?あっち座ろ?」



あたしはそれに小さく頷いて、みんながいる方に歩いていった。



昨日と同じ場所に腰を下ろす。



「なにか飲む?」



「......なにがあるの」



「ん〜」



友樹は冷蔵庫を開けた。



「...緑茶と麦茶とカフェオレとブラックコーヒー...かな〜」



「...じゃあ緑茶で」



「はいどーぞ〜」



友樹はニコニコ笑いながらあたしに緑茶を手渡した。



「友樹、俺もー」



恭がソファに座りながらそう言った。



「お前は自分で取れ」



そんな恭の頼みを、“お前”呼ばわりで友樹が断る。



「友樹ってほんと、女子だけにしか優しくないよな」



「男子に優しくして得なんてないでしょ」



呆れた様子で恭は立ち上がった。



女子に優しくしてなんの得があるんだろう。
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