冷たい花に偽りの太陽を
もしなにか得があるとしても、感情をほとんど持っていないあたしには関係ないと思う。
ペットボトルのキャップを開け、1口飲む。
そういえば、ほとんど水分を取っていなかった。
「...愛夢、なんで倒れたの?」
一瞬息が止まった。
本当に一瞬だけ。
慧の瞳はあたしを真っ直ぐに見ている。
「...あたし貧血なの。だから立ちくらみは日常茶飯事。倒れることはまあ少ないけど...」
嘘はついてない。
元々貧血気味だったし。
まあ倒れたのは貧血のせいではないけれど。
「.........そう」
慧の疑うような視線に気付かないふりをした。
まるで全てを見透かされているようで少し怖かった。
あたしの罪もバレているんじゃないかって、
あの日あったこともその前のこともバレているんじゃないかって、
そう思うとどうしようもなく怖かった。