冷たい花に偽りの太陽を


もしなにか得があるとしても、感情をほとんど持っていないあたしには関係ないと思う。



ペットボトルのキャップを開け、1口飲む。



そういえば、ほとんど水分を取っていなかった。



「...愛夢、なんで倒れたの?」



一瞬息が止まった。



本当に一瞬だけ。



慧の瞳はあたしを真っ直ぐに見ている。



「...あたし貧血なの。だから立ちくらみは日常茶飯事。倒れることはまあ少ないけど...」



嘘はついてない。



元々貧血気味だったし。



まあ倒れたのは貧血のせいではないけれど。



「.........そう」



慧の疑うような視線に気付かないふりをした。



まるで全てを見透かされているようで少し怖かった。



あたしの罪もバレているんじゃないかって、



あの日あったこともその前のこともバレているんじゃないかって、



そう思うとどうしようもなく怖かった。

< 63 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop