冷たい花に偽りの太陽を
CHAPTER.4
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『行ってらっしゃい歩夢(あゆむ)、来夢(らいむ)。』
『いってくる!』
『行ってきます母さん。』
『.....いってきます』
おかあさんは、あたしがみえていないかのようにふるまう。
おにいちゃんたちには『いってらっしゃい』っていうのに、あたしにはめもむけない。
でもそれは、あさだけのはなし。
ごごになれば、おにいちゃんたちよりもあたしをみてくれる。
おかあさんもおとうさんもあたしがひとりじめなのに。
ちっともうれしくないの。
『まじでめざわり!がっこうくんな!』
『きったねぇ!こいつのかみのけ触っちった!』
『まじかよ!?おまえこっちくんな!』
ひっしでにげるひととおなかをかかえてわらうひとたち。
あたし、なにかした?
なんでそんなふうにいわれるの?
がっこうもいえもだいきらい。
みんなみんないなくなればいいのに。
『おにいちゃん、らいにい、あのね...』
────あたし、もうつかれちゃったよ。
『愛夢...。愛夢はどうなってほしいの?』
ふたりはすごくやさしい。
だってあたしのことばをきいてくれるから。
『...おかあさんたちなんて、クラスの人達なんて、いなくなってほしいっておもうの。』
これが、あの時のあたしの願い。
あたしって最低だ。
優しい2人を利用した。
あたしがいなくなれば良かった。
来兄、お兄ちゃん、ごめんね...。
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