冷たい花に偽りの太陽を
「歌瑠がさ、“あんたいっつも一人でいるよね”って言ったの。でも別に、好きで一人でいるわけじゃないし、いじめられてるんだから一人でいるのは当たり前でしょ?それなのにそんなこと言われたって、どうしようもないじゃん。」
多分最初から一人でいたいと思ってる人なんていない。
私や心織みたいに、なにか理由があって人と関わりたくないと思ってしまう。
「また私はなにも言えずに、歌瑠から目を逸らしたんだ。
歌瑠が“1人って楽しい?”って言ってきて、正直ムカついた。楽しいわけないじゃんって。でも私はやっぱりなにも言えなかった。
歌瑠はため息をこぼして、私の方を向いたの。それで、“あのさぁ、そんなんだからいじめられんじゃないの?”って言ったんだよね。」
ふふっと心織は笑った。
.....というか、話を聞く限りその歌瑠って子、結構最低じゃない?
もしかしてそれが普通?
そして心織の笑うポイントが分からない。
普通そこで笑わくない?
まああたしは笑わないけどさ。
「それでもう私本当にムカついて。勢いよく立ち上がって、“好きでいじめられてるわけじゃない!知ったような事言わないで!”って叫んじゃったんだよねぇ。」
いやいや、叫んだのかよ。
さっきまで声出せなかったとか言ってたのに。
心織強すぎ。
「叫んだ後に我に返ってさ、あーやらかしたって。もうこれでこの子も本当に敵になるなーって思ったの。
でも歌瑠はね、立ち上がって叫んだ私を見て、爆笑したんだよね。」
いや歌瑠ちゃんどんだけ変わってるんだよ。
そこで爆笑!?
絶対普通じゃないじゃん!
「“なんだ、あんたちゃんと自分の気持ち言えるじゃん”って言われて、私涙出てきてさ。」
涙!?
すごい思いっきり啖呵きったあとに涙!?
喜怒哀楽凄まじく変わってるじゃん!
絶対それ脳内パニック状態だから!
「その日から歌瑠はずっと私と一緒にいるようになったの。歌瑠が私といることで、私へのいじめもどんどんなくなっていった。歌瑠は人気者だったから。
それでさ、歌瑠に、“我慢せずに自分の気持ちは伝えないと損だよ?”って言われて、私歌瑠を見習うことにしたの。
それからはもう自分の意思とかハッキリ伝えちゃってるんだよね。」
いや喜怒哀楽だけじゃなくて性格まで凄まじく変えてきたな。
もうそこまできたら別人じゃん。
っていうか、なんであたしこんなに心の中でツッコミしてるんだろ。
「でね、愛夢が歌瑠と会う前の私に似てたからほっとけなくて。それで声掛けちゃった。」
いや“ちゃった”じゃねえよ。
声掛けてくんなよ。