冷たい花に偽りの太陽を
昔のこと思い出しているのかもしれない。
「どけよ!」
「どかない!」
心織は小さな体であたしを守ろうとしながら叫ぶ。
どうしてそんなに強くいられるの?
どうしてそんなに真っ直ぐでいられるの?
あたしと心織の境遇は似ていた。
そんなあたし達の違いはなんなの?
あの日望まなければ、あたしも心織と同じようになれていたのかな。
「ふざけんなよ!」
一人の女が右手を振り上げる。
心織が殴られる、そう思ったら自然と体が動いていた。
あたしは心織の体を後ろへ引く。
心織はきゃっ、と可愛い声を出してあたしの体に当たった。
女の右手は空を切る。
そして舌打ちをこぼした。
コイツ短気過ぎない?
「...行くから。」
「愛夢...っ!」
心織が心配してくれているのは分かる。
でもあたしは慣れてるから。
なにをされたって平気だから。
だから安心して?
「...心織、先行ってて」
あたしは大丈夫だから、そう気持ちを込めて心織を見つめれば、心織は少し悲しそうな顔をしてわかった、と頷いた。
満足そうに女達が笑う。
あたしは静かに女達に着いて行った。