冷たい花に偽りの太陽を
あたしが廊下を歩くと、皆が退いていく。
まあ当たり前だ。
だって外は晴れてるのに、こんなにびちょびちょの人が歩いているんだから。
周りからヒソヒソとあたしのことを言う声が聞こえる。
なんで濡れてんの?とか、あの子ってずっと無表情の子でしょ?とか。
言われ慣れているあたしは無表情で歩く。
空き教室に着いた頃には、昼休みが半分終わっていた。
あたしがドアを開けると、心織があたしの元に駆け寄ってくる。
「愛夢!...ってびちょびちょじゃん!着替えは!?」
心織はあたしを見て真っ青になった。
なんであたしより心織が慌ててるの。
「着替えは持ってない。」
「えぇ!?ジャージは!?私の着る!?」
「いや、大丈夫だか────」
「大丈夫じゃないよ!着替えよう!ね!?」
...でたよ。心織の話を聞かないやつ。
自分の意思をはっきり伝えすぎだから。
「心織」
少し強く言えば心織はビクッとしてあたしを見た。
「あ、あむ...?」
「あたし今日はもう帰るから。.....だから、心織にお願いがあるの」
お願い、と聞いて心織は少し目を輝かせた。