冷たい花に偽りの太陽を
“お願い”の何が嬉しいんだろう。
「この棟の屋上に慧がいると思う。だから慧に、あたしが帰ったって伝えて。」
「け、け、慧先輩に私が!?」
心織の顔が赤くなっていく。
そういえば、慧って校内でかっこいいって言われてるんだっけ。
心織も慧のことをかっこいいと思っているのか。
「そう。...それから、明日は休むとも伝えておいて。」
「愛夢、明日休むの?」
「...うん。」
心織はなにか聞きたそうな顔をしていたけれど、あたしは心織に背を向けた。
ドアに向かって歩く。
「あ、愛夢!...またね」
心織があたしに小さく手を振る。
あたしはそんな心織に“またね”と小さな声で返した。