冷たい花に偽りの太陽を


心織side



愛夢が空き教室から出ていった。



しんと静まりかえった空き教室で、私は愛夢のことを考える。



愛夢はずぶ濡れだった。



いじめ、られてきたんだろう。



いじめなんて嫌い。



大嫌い。



でもそのいじめを止める勇気を、私は残念ながら持ち合わせていない。



その勇気があったなら。



愛夢を笑顔にできたかもしれないのに。



とりあえず慧先輩の所に行かなくちゃ。



私は立ち上がる。



そしてドアの鍵を閉め、窓を開けた。



前に愛夢を気づかれないように追いかけたことがある。



所謂、尾行というものだ。



その時愛夢は、窓から出入りしていた。



だから私も愛夢がいない時は窓から出入りすることにした。

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