冷たい花に偽りの太陽を


あたしの住むマンションに着くと、すぐにエレベーターに乗った。



5と書いてあるボタンを押し、スマホを取り出した。



...まあ別に、スマホでなにかやることがあるわけじゃないんだけど。



何となく手に持ったスマホ。



特に開くこともなく、エレベーターが止まった。



エレベーターから1番遠い位置にある501号室。



その角部屋が、あたしの家だ。



鍵を開けて中に入る。



どうせ声なんて帰ってこないんだから、「ただいま」とは言わない。



「お昼は.....いいや。」



あたしは制服から部屋着に着替えると、ソファに寝転がった。



スマホで曲を流しながら目を瞑る。



疲れたとは思わない。



だってそんな感情持ち合わせていないから。



「あたしも普通が良かった...」



そんなあたしの叶わない願いは、静まり返った部屋にかき消された。

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