冷たい花に偽りの太陽を


家から電車に乗って1時間。



あたしは元々住んでいた街に来ていた。



今住んでいる所の隣の県。



電車を降りてから花屋で買った花を持ち、バスに乗った。



そこからまた1時間。



計2時間かけて着いたのは、家族が眠る場所。



といっても、あたしはあんな両親を親だと思ったことはない。



だからここに眠るただ1人──────────お兄ちゃんに会いに来た。



墓石や周りを掃除して、花を供える。



お兄ちゃんが好きだった炭酸の缶ジュースも一緒に供えて、お線香に火をつけた。



墓石の前で手を合わせ、心の中でお兄ちゃんに語りかける。



お兄ちゃん、誕生日おめでとう。



もう20歳だね。



あのねお兄ちゃん。



私、仲間が出来たんだよ。



友達も出来たんだ。



まだ全然信じられないし、信じようとも思えないんだけどね。



やっぱり毎日死にたいって思うけど、頑張るから。



あの日、お兄ちゃんが繋げてくれたあたしの命を自分で捨てるようなことはしないから。



あの時お兄ちゃんを否定しちゃってごめんね。



あたしのためだったのに。



あたしが否定しなければ、拒絶しなければ、お兄ちゃんは今も生きてたのかな。



やっぱり、お兄ちゃんが死んじゃったのはあたしのせいだよね。



ごめん。



ごめんね。

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