異世界にて、ファッション革命起こします!!
「これはジュールが頑張らねばなりませんね。モネ嬢はシュヴァイネル家の大切なお嬢さんですからね」
そう言う王妃様に、王太子様は一つ頷くと私の前へとやって来た。
そうして、片膝を着いて椅子に座る私を見上げる。
私はびっくりして立ち上がろうとすると、それより前に私の両手が王太子様の手に包まれる。
その手は思ったよりも節があり大きく固かった。
それはお姉様やお兄様、お父様と同じく剣を握る手。
それに気づいた私は、王太子様にイメージしていた事とは違うことに気づく。
この王太子様は自身の身を守る術も身に付けているのかと驚いたと同時に、王太子として政務にも就いている。
王子様の雰囲気に飲まれていたところがあるが、この目の前にいる王太子様をしっかり手を掴まれたことで初めて一人の人として認識した。
私はつくづく鈍いのだろう…。
「モネ嬢。ようやく、リュカから一本取れたんだ。それが取れるまでデートにもお茶にも誘う資格無しと、リュカやシャノンに言われていたんだよ?」
クスクスと笑いながら言った王太子様。
その笑いが止まると、眼差しは優しいけど真剣味を帯びた。
「やっと、誘えるんだ。モネ嬢、僕と外に出るのはなかなか難しい。だからこの城に招きたいと思っている。僕のこの誘いを受けてくれるだろうか?」
少し、キュッと握られた私の手。
優しさ溢れる声に顔を見つめれば、その瞳は今は私の返事を待つのに少し不安が浮かんでいる。