この世界にきみさえいれば、それでよかった。
「えー彼女じゃないの?ヒロの接し方見てたら絶対にそうだと思ったのにな」
私は「あはは……」と苦笑いをして、注文された焼きそばを作り続ける。
「でもヒロは身内がいる場所に女の子なんて連れてくるタイプじゃないから、姉としてはけっこう嬉しいんだよね」
「そうなんですか?」
てっきり過去にいたであろう元カノさんたちを美幸さんはたくさん見てきてると思ってた。
「六つも歳が離れてるから、あんなに大きくなっちゃったけど、今もずっと可愛い弟なんだよね」
なぜか美幸さんが遠い目をする。
「まあ、身体の他に態度もでかくて困っちゃうけど。もしヒロと喧嘩したら私に言ってね。すぐぶっ飛ばすから」
「はは、はい。ありがとうございます」
おそらく美幸さんもきっと昔は相当ヤンチャしていたに違いない。私は姉弟なんていないから、ふたりの関係が羨ましい。