この世界にきみさえいれば、それでよかった。



「でも俺はお前を放っておけないし、昨日のことだって俺がしたいから助けたし、俺が心配だから一緒に寝た」

「………」

「お前はいつも俺が我慢してるとか俺に迷惑かけてるとかそんな顔するけど、俺が勝手にやってる気持ちをお前が勝手に決めつけるなよ」

「………」

「でもそう言ったってお前は気にする性格だから、昨日のことを気にしてるなら、今は黙って俺に肩を貸せ。シフトを代わったこともこれでチャラだからな」


私は頷くことで精いっぱいで。ヒロが動くなと言うから涙もうまく拭けない。


ごめんね。面倒くさい女で。

だって、なんにも見返りを求めないで優しくしてくれる人なんて私にはいなかったの。


だから、ヒロが親切にしてくれることが嬉しい反面、すごく戸惑ったことも事実。

でも、ヒロがしてくれること、やってくれること。それは全部見返りなんていらない愛情だってこと。


それがひしひしと伝わってきて、これからたくさん面倒かけることは分かってるのに、ヒロから離れたくない。


迷惑をかけても、ヒロの傍にいたい。

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