この世界にきみさえいれば、それでよかった。

「電話？アイツから？」

鳴り続けている私のスマホをヒロが横目で確認した。


「う、うん。たぶん仕事の休憩なんだと思う」

「なんでそんなこと知ってんの？つか、よく電話かかってきたりしてんの？」

「まあ……」


なんだかヒロが不機嫌？

今はなにを言っても言い訳に聞こえるかもしれないけど、元はといえば奏介くんの電話をヒロが無視しまくるからこうなったのだ。


『話がなげえ』とかと『どうせ用はない』とか言って、構ってちゃんの奏介くんを野放しにした結果。

私にかければ伝言もヒロに伝わるし、と奏介くんが電話をかけてくるようになったんだ。

話は楽しいし、べつにイヤじゃないけど、たまにお昼ご飯の食レポを一方的に解説するのはやめてほしいかな、とは思ってる。


「アイツは一回エサを与えただけで、ウザいほどなつくからな。あんま甘やかしてると調子づかせるだけだぞ」


……そんなことを言われても。


「ちょっと貸せ。お前は先にコンビニに行ってろ」


ヒロがそう言って私のスマホを奪う。