この世界にきみさえいれば、それでよかった。






それから2日ほどが経って、夏休みも残り半月となった。


ヒロの家を出ていくつもりだった私だけど、まだここにいさせてもらっている。


捜索願のことだけが気がかかりでヒロに相談したらあっさりと『あの男の様子からしてお前を脅すために言ったっぽいし、仮に出されてたとしても心配いらねーよ』と言われてしまった。

どうやら警察は事件性がない限りは滅多に動かないらしい。なんだかとても詳しいから、ヒロも家出を繰り返した経験があるのかもしれない。



「はあ、やっぱり我が家は最高だね」

そして今日は久しぶりに奏介くんが遊びにきた。仕事が一段落したようで、前に会った時よりも肌がこんがりと小麦色になっている。


「いつから俺ん家がお前の我が家になったんだよ」

「親友の家は最早自分の家でしょ」

「相変わらず思考がキモいな」


ソファーでくつろいでいる奏介くんにヒロは呆れ顔。でもこのやり取りも久しぶりに見た気がして心が和む。

< 153 / 225 >

この作品をシェア

pagetop